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漆刷毛の使用方法と漆刷毛のほぐし方は、産地の特色、使用する漆、気候、各人のやり方によって、とても違いがあります。

これが正解、というものはありませんが、一応の標準を載せますのでご参考にしてください。

ここに掲載したものよりも、詳細な使い方パンフレットもご用意してございます。こちらから ご請求ください。無料進呈

切り出し方

■ 使い古しの部分を根本から、約5ミリ程度引っ込めて鋸で切り落とします。

■ 塗師屋包丁・小刀・鑿などの刃物で刷毛先の三角にする部分の長さの板を上下とります。

■ つまみ台(木製の台)の上で刷毛先の尖った三角の部分を刃物を使って形作ります。漆刷毛師のわたくしは鉋刃を使っています。便利で早いです。最初から、この工程を全部、砥石で摺ってこの形を作ろうとすると、毛がくずれたり 、時間がとてもかかります。

■ 刷毛先の毛足の長さを決めて、再度、板に切り込みをいれて、はじき取ります。

たたき方 ほぐし方

■ 毛先の横の部分の板(へり木)を小刀で切り取ります。※1

■ つまみ台の上に毛先を乗せて、金槌で叩いていきます。※2

■ 叩いていくと、段々固まっていた毛先がほぐれていきます。

■ ほぐれたら、刷毛先の中に入っている糊漆のゴミを全部出すために、ゴミ出し作業を行います。塗っていてゴミが出やすい、という不具合で刷毛に原因があるときは、この作業が完全にできていない、ということですのでぜひとも丁寧にお願いいたしますね。


※1 切込みだけ入れておいて取らない、方法もあります。叩いている内に自然ととれていきます。この方が角の部分の毛がはねずにキチンとするから良い、特に箱物を塗る場合は。というやり方です。

※2 金槌の両面には、大きい方と小さい方、あるいは平らな方と丸い方があります。小さい方か丸い方で叩いてい った方が板の部分をまちがって叩いて割る心配がない、というやり方もあります。


■硬さについて

昔の関西系の極度に硬い固め方を好む使い手もおられることは重々承知しておりますが、やはり作業時間の短いこと、ほぐしが楽な事、毛質が痛まない事でほとんどの方が、現在のわたしの固め方を好まれます。

少し使い慣れていただければ、具合良さがおわかりいただけるものと思います。

極度に強く叩けば毛が折れることは明白です。作業も半日程度かかるので、なんとかしてくれ、お宅の漆刷毛と交換してくれとのご希望の方もずいぶんとおられました。また、硬いことと毛の密度が高い、毛が良いということは関係ありません。

 

洗い方

■ 定盤にご飯粒あるいは糊を少し用意します。刷毛で左右に動かし、糊状になるまで繰り返します。

■ 糊が汚れた色になりゴミが取れてきます。これを何回か繰り返します。

■ 糊をヘラでよく突き出し、最後に石鹸で良く洗います。

 

保存方法

■ 長期保存の場合、馬毛を用いた刷毛目・胴摺刷毛、乾漆刷毛は虫が付く可能性がありますので、風通しの良い場所で樟脳をおいて下さい。店頭でペンキ刷毛が空中に吊してある理屈です。

髪毛使用の塗り刷毛は、不思議と虫がつきません。ただ、10年単位で保存の場合は、樟脳を入れておけば引き出しの奥でも長期保存は可能です。

でも、ときどきは点検してください。30年もしまいっ放しは、無理がありますよ。(笑)

 

 

■ 使用中の刷毛は、毛先にクセがつかぬように保存してください。※1

 

■ 使用後は当然のことですが、必ず油で何度も洗い漆分を取って下さい。そして、最後に植物油 (不乾性油)を含ませておきます。これを忘れたり、揮発性の油ですと毛先が固まってしまい使用できなくなります。

固まってしまった場合は、新しく切出しする以外方法はありません。固まってしまった、という方からのご連絡も昔はも結構ありましたが、やはり灯油で洗ってそのまま保存してケースが全部でした。

この油もいろいろありますが、好み、秘伝、あるようですね。

 

■ ある期間使用しない場合は、植物油を含ませてゴミがつかないよう、クセがつかないようにラップで包んでおくと良いでしょう。 但し、固まらないようにと、あまりにたっぷり油を付けてしまうと刷毛の中に油が入ってしまうのでご用心。

 

※1 油壺に浸けっぱなしは、クセがついてしまうことと刷毛が油分を吸ってしまうためおすすめできませんが、毎日使う塗師の方ではそれでも十分に良い仕事をなさる場合が多いことも事実です。

ここの部分は、いろいろ独自の工夫があるかと思います。ここが、道具の扱い方のテクニックでしょうか。◎刷毛の帽子 というのもあって(自作です)これで毛先をキチン 、ピ−ンとしている塗師もおります。

 

調子について

■ 漆刷毛は他の刷毛と大きく違い、毛先を刃物で切ったり、砥石で摺ったりする為に最初は毛に角がついています。そのため、たとえ泉清吉の刷毛でも、大極上でもいきな りは上塗りの本来の調子はでません。

以前にこのことをご存知なくて、返品された刷毛がございましたが、涙、ですねぇ。是非、使って毛先を幾分丸めるという、慣らし、をお願いします。何でも慣らしは必要です。 ※1

 

※1 出来れば下塗り、中塗り、と調子をあげていき上塗りに格上げすれば最上と思います。しかし、実際、上塗りしかしない場合などそうもいかないのも事実ですよね。その場合は、ぜひ、慣らし、だけはお願いしたいと思います。

 

腰の強さについて

■ 毛先を短く切出すと腰は強くなります。薄手の刷毛の毛先を短くすると具合が良い場合があります。

 

■ 毛厚を増すと腰は強くなります。厚口の刷毛は腰が強く含みもよいのですが、軟らかい漆を塗る場合空気を多く含んで泡が出やすい、使用後の手入れが大変ということも あります。

 

■ 毛先を作るときにえぐった三角形にしていませんか。そうすると腰は弱くなってしまいます。一番強いのは砲弾型です。

 

■ 同じ厚さでも、毛の密度の高い刷毛は腰が強い。上級の刷毛はそれだけ腰が強いものです。
 
 
※1 以前は少し厚口で毛先を短くした冬刷毛、薄口で毛先を長くした夏刷毛、というものがありました。今は、空調、漆の調整でそれほどでもありませんが参考にしてください。

 

※2 この毛厚が全国産地で大変に違い、漆刷毛がなかなか標準品の在庫ができない理由の一つでもあります。   A産地の標準の厚さはB産地では通用しないのです。

薄口では二寸刷毛でも一分厚のところもあり、八分刷毛でも一丁半掛け(×1.5)の厚さのところもあります。

まあ、ここのところが漆刷毛師としての本領発揮といったところでしょうか。覚えるのには年期が必要ですね。

 

その他

■ 刷毛の板部分は木地のままでなく、漆を塗ったり、布・紙着せをいたしますと長持ちいたしま す。※1
■ 刷毛は、黒、朱、透、など是非色別にすることをおすすめいたします。注意して洗っても混じる事が多いものです。
■ 細かい所、狭い所は巾の狭い刷毛、広い所は巾の広い刷毛を使用することをおすすめします。巾広の刷毛で狭い所も塗っていると、その部分だけが偏って減ってしまいます。
 塗ると油で手に持った刷毛が滑る場合、乾漆粉を蒔いたり、寒冷沙を着せたりといろいろ使い手の皆様は工夫なさっています。工房訪問で見せていただくと、本当にいろいろ工夫しておられます。

きれいに塗っておられる方も、木地のままの方も。木地のままのほうが、口にくわえたときの歯触りが良いていう方も。ちなみに、歯触りはスプルースより、やはり檜にかぎるとのことでしたね。(笑)

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