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九世 泉清吉         八世 泉清吉         取材、掲載記録 


漆刷毛師 九世 泉清吉 日本のすばらしい伝統工芸である漆工芸において、漆刷毛は皆様ご存じの通り、陰の存在ながらも非常に重要な役割を果たしており、なくてはならない道具のひとつです。

この漆刷毛を作るには、良い材料、地味なねばり強い気力、そして手作業の細かな技術が必要とされます。しかしながら、他の伝統工芸品と同じく、漆刷毛をとりまく状況は非常にきびしいものがあり、良質の漆刷毛を作り続けることはきわめて 難しくなってているのが現状です。

そのような状況の中、おかげさまで文化庁より文化財選定保存技術保持者として認定をいただき、 製作のかたわら、漆刷毛の記録作成、漆刷毛にご理解いただくための講演実演、後継者育成などの活動を少しずつおこなっております。


 

江戸の三代大火の一つ、振り袖大火の前年の明暦二年(1656年) 日本で初めて漆刷毛に人髪をもちいること、髪毛が最後まで通っている鉛筆型 、糊漆で硬く固めた毛板の三大特徴を持つ漆刷毛を考案して現在の形にした、初代 漆刷毛師 泉清吉の伝統技術をわたくしは受け継いで製作しています。

しかしながら、根本の製作技法は守りながらも、その形は過去の伝統に固執することなく、生きて 変化しつづける現在の漆工、漆芸に対応できるように漆刷毛を改良、新規考案していく事こそ、伝統工芸を守る事だとわたくしは考え実行しています。

塗る方を思い浮かべながら刷毛のひとつひとつに魂を込めて作り上げる、という工業製品ではできない 手仕事を誇りに思い 、わたくしの命ある限り毎日、毎日作り続けていくつもりです。わたくしの作る漆刷毛が、ささやかながらも日本のみならず世界の漆工芸、国宝修理のお役に立てば、本望でありこれ以上の喜びはありません。

2005年7月記


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